「一生、この自分を元気で楽しく幸せな人生にしてくれる決定的なコトバと出会いたい。」

 「一生、この自分を元気で楽しく幸せな人生にしてくれる決定的なコトバと出会いたい。」きっときっと、必ず世界のどこかに、そんなコトバがあるに違いないと、紙とペンをいっぱいリュックに詰め込んで、虫取り網を手にもって、虫かご肩からさげて、30数年もの間、旅を続けて来ました。

 少年時代に患った原因不明の熱病の高熱は今だ下がらず、48にもなって髪の毛は薄くなり腹は出て目元のしわが増えても、虫取り網を放さず少年のままでいるおかしな私です。

 コトバは、この宇宙に美しく眩しく輝きながら泳いでいる熱帯魚です。時に一匹、数匹で、そして時に無数の群れで泳いでいます。それを、すくい取るだけのことで、私は、早朝から良く働く、働きものの漁師です。

 しかし、それを殺して食べはしません。宇宙とまったく同じ大きさの私の宇宙に移動させて、また、自由に楽しく泳いでもらいます。彼らにとって私という宇宙大の宇宙の海と、今まで泳いでいた宇宙との区別はありません。なぜなら、その大きさも、食塩濃度も、その他の海水組成もまったく同じだからです。

 私はコトバや文章を書くとき、まったく考えません。思考ゼロです。手がかってにペンをどんどん動かしていきます。あえて言うなら意識ではなく無意識が、ペン先で宙から文字を次々引っ掛け、紙の上に落としていきます。工夫したり考えたりということはなく、私の個性など何一つ意図されず、そもそもその時、私など存在していないのです。だから、私の文章は私のものはではないともいえます。宇宙のもの、みんなのものです。

 私は個性的、独創的、斬新なアイディアをいっぱいキャンパスに詰め込もうと血気盛んなシュールリアリストではなく、ただただ一心不乱に宇宙を飛び交う、目の前を飛び交いやってきたものたちをスケッチしメモし描き出すだけの、あまり面白みのない、まじめなだけの絵描きです。